神々の沈黙 - ジュリアンジェインズ神々の沈黙 - ジュリアンジェインズ
著者
ジュリアンジェインズ
カテゴリ
発行日
2005-04
読書開始日
2024-05-10
3選
最初の詩人は神々だった。詩は二分心の誕生と共にはじまった。古代の精神構造における神の側は、常に韻文で語っていたのだ。少なくともそういう時代があった。つまりある時代に生きた人間のほとんどは、頭の中で詩のようなものが組み立てられて語られるのを1日中聞いていたことになる。(中略... にて,この仮説は提唱される
「遠い昔、人間の心は、命令を下す「神」と呼ばれる部分と、それに従う「人間」と呼ばれる部分に二分されていた[…]どちらの部分も意識されなかった」 私の心が、私に訴えてくる。「私」の中で、喋りかけてくる人と聞いている人が、別々なのである。
二分心とは何か? - ジュリアン・ジェインズ著『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』を読む|way_finding
ジェインズ氏の二分心説では、「遠い昔、人間の心は、命令を下す「神」と呼ばれる部分と、それに従う「人間」と呼ばれる部分に二分されていた」と考える。ここで「神」というのは、ある人が、部族の仲間や長老たちの訓戒する声を聞いたものが記憶され、それが脳の右半球で幻聴となって繰り返し響く、というものである。
二分心における神の声の幻聴は、「脳」において発生するものである。 ここで気をつけたいのは、脳は、一切の外部環境から隔絶され孤立したところで、ゼロから二分心の神の声を生み出すわけではない。 二分心の神の声は、日々一緒に暮らして働いている周囲の人々の口から発せられる声を聞き、その声を脳で記憶することに始まる。 ジェインズ氏は以下のように二分心の一般的パラダイムを考える。 **一) 集団内で強制力を持つ共通認識
** 集団内で信じられていること、文化全体の合意に基づく期待や掟。二) 誘導
限られた範囲に意識を集中させて狭めるための儀式化された手順三) トランス
集団内で強制力を持つ共通認識と誘導への反応による意識の希薄化四) 古き権威
トランスに入って交信したり結びついたりする相手一)も四)も、祖先伝来の教訓話、訓戒話の決まり文句を繰り返し聞かされない限り出現してこないものであるし、二)と三)は長老が語る部族伝来の決まり文句を、強いストレスの中で集中力を高められた若者たちの耳へ、脳へ注ぎ込むための手続きである。
二分心は、日々一緒に暮らす人々の共同体があり、そこでほぼ同じ人たちがいつもいつも同じような生業のための行動やを反復しながら、祖先伝来の訓戒的な決まり文句をことあるごとに繰り返し繰り返し口から発しており、共同体の耕地や放牧地で共同作業をしている限りその決まり文句の声をほとんど一日中聞かされ続けるという生活環境があってこそ、その環境の中ではじめて脳による記憶と学習の一つの成果として形作られるものであると考えられる。
二分心の「神=祖先」の部分による声は、脳内から自然発生するものではなく、あくまでもかつて誰かの口から出た声を、耳で聞き、おそらく復唱し、そして記憶したものが繰り返し思い出されることによって、具体的な細々した指図になり「人民を食糧生産と自衛のために結束」させたわけである(『神々の沈黙』p.183)。
<二分心>の始まりと終わり - ジュリアン・ジェインズ著『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』を読む|way_finding