エンジニアの知的生産術 - 西尾泰和

cover|200

著者

西尾泰和 Private or Broken Links
The page you're looking for is either not available or private!

カテゴリ

発行日

2018-08-24

読書開始日

2025-07-11

3選

  • KJ法は繰り返し実行されるもので、その1ラウンドは次の4つのステップから構成されています。
    1. ラベル作り
    2. グループ編成
    3. A型図解化
    4. B型文章化
  • 哲学者のArthur Schopenhauer (ショーペンハウアー)は、読書を先生が書いてくれた習字のお手本をなぞるようなものだとたとえました。読書をしている間、頭の中は他人の思想が駆け巡っているだけで、自分自身では考えていません。なので、読書ばかりをしていると考える力が衰えて愚かになる、と考えました。
  • ピラミッドの頂点Aは、一番極端な読書法「読まない」です。読まなければ時間は一切かかりません。その代わりに何も得られません。その極端のちょっと手前Bについて解説している本が、文学教授のPreteBayardが書いた『読んでいない本について堂々と語る方法」のです。Pieteは、3つの規範「読むべき本が存在する」「本を読む以上は通読するべきである」「本について語るなら本Xを読んでいる必要がある」のそれぞれについて、それが本当に正しいのかどうかを議論しています。Pierreの議論の中で興味深いのは、「読んだ」と「読んでいない」を明確に区別することはできるのかどうか、という問いです。彼は「読んでいない」を4つに分類しています。
    1. ぜんぜん読んだことのない本
    2. 人から内容を聞いたことのある本
    3. ざっと読んだことのある本
    4. 読んだことはあるが忘れてしまった本

メモ

知識のインプット・アウトプット・整理方法・暗記方法など,知的学習の方法論について書かれた本.思考の整理学思考の整理学
筑摩書房 東大・京大生が根強く支持する異例のロングセラー 思考の整理学

著者は 外山滋比古.昔読んだこの本,正直当たり前すぎて刺さらなかったのだが,最近知識の整理に興味を持って,こういうサイトを立ち上げるほどになったので軽く振り返る(もし読み直すことがあればNoteに移動する)



概要としては

気づいたことを手帳に書く
アイディアを寝かしたうえで,さらに深めたいことが...
的な話.

ハウツー本ほど中身が薄くはないのだが,著者の主著が強く述べられているというよりも,この本自体が膨大な著者の知識をKJ法にて綺麗にまとめあげた本であるので,その点では「著者の主張」というようなものを期待してはいけない.

本書はKJ法がいたるところに出てくる.KJ法の啓蒙書なのではないか.KJ法とは川喜田次郎が発案した思考をまとめあげる方法で,次のようなものになる.

KJ法は繰り返し実行されるもので、その1ラウンドは次の4つのステップから構成されています。

  1. ラベル作り
  2. グループ編成
  3. A型図解化
  4. B型文章化 「ラベル作り」は、短文の書かれた紙を作る作業です。今までふせんに書き出し法をしてきたのは、実はこのラベル作りの過程でした。 「グループ編成」は、さらに次の3つのステップに分かれます。
  5. ラベル拡げ
  6. ラベル集め
  7. 表札作り

たとえば最初に100枚のふせんがあったとします。これをうベル集めして3~5枚のグループにしたあと表札を付けてねると、見た目の枚数は25放前後に渡ります。多すぎる情報から重要な部分だけを抽出して、もっと扱いやすい分量に減らしたわけです。 この25枚に対して、また関係のありそうなものを近くへ動かしてグループを作り、表札を付けます。そうすると次は6~7枚に減るわけです。この6~7枚のふせんを、また関係を考えながら配置します。適度な分量になるまでこうやってグループ編成を繰り返します。こうやって、あなたが書き出した100枚のふせんの全体像が大まかにわかるようになったわけです。 それが終わると、次は「A型図解化」です。ねたふせんを順次展開しながら、落ち着きの良い構図を試行錯誤して、空間的に配置します。そしてその配置に対して、必要に応じて囲みや矢印を加筆します。川喜田次郎はこれを「図解」と呼びました。 最後のステップ「B型文章化」では、この図解をもとに文章を作ります。 断片の集合から図解へ、図解から文章へとフォーマットを変えていくことで、視点を変え、見落としに気付かせる効果があります。

グループ編成は主観的なものなのです。客観的であろうとして、たとえば何かの本で読んだフレームワーク(理の枠組み)を思い出し、それに当てはめて分類したとしましょう。これは客観的な行為ではありません。他人が主観的に作った粋に、情報を押し込める行為です。自分が集めた情報ではなく、借り物の解釈を優先してしまっているのです。

一方、自分の主観的な考えを、客観的な考えだと勘違いしてしまう人もいます。これも危険な状態です。他人の考えが自分の考えと食い違ったとき、自分が客観的で正しく、相手は主観的で正しくない、と判断してしまうからです。この状態に陥ると、自分の考えの枠組みを更新できなくなります。 情報をどう解釈するべきかについて、客観的に正しい基準は存在しません。せいぜい「多くの人が賛同している基準」があるだけです。なので、客観的であろうとしなくてよいのです。自分の主観的解釈を持つことが大事です。そして、それが主観的解釈であることを忘れず、他人が自分と異なる意見を述べたときには自分と対等な主観的意見として聞き入れ、新しいふせんとして取り入れ、枠組みを更新できないかと模索していけばよいのです。

KJ法のここまでのステップでは、ふせんを束ねる方向に進んできました。 どんどん情報を圧縮してきたわけです。ここで連載します。最終的なアウトブットの文章やスライドに向けて、圧縮したものを展開していくのです。 まず束ねたふせんを、東ねたまま、模造紙の上などに配置します。このときに最も落ち着きの良い構図を試行錯誤して見つけます。 それができたら束ねたふせんを展開して、一段階下のふせんを取り出します。このふせんを、周辺のふせんとの関係を考慮しながら、落ち着きの良い構図で配置します。これを繰り返してすべての東を展開します。 次が図解化です。展開され空間的に配置されたふせんを眺めて、グループ化されていたふせんを輪で囲んだり、その輪と輪の間に矢印を加筆したりします。

大きなホワイトボードと,たくさんの付箋が必要になる.

デジタル的にできないか?と考えたが,著者も同じことを考えたようだが,当時はデバイスの制約からでかったようだ. 今だったらVRゴーグルでやるのが良いのだろうか?

私は普段アウトプットする場はそれほど多くなく,ここかXかといった具合なので,インプット・速読術が気になったが,大体知っていることだった.それでも Whole Mind System は興味深いので引用しておく.

Whole Mind Systemは、5つのステップから構成されている、とPaulScheeleは解説しています。しかし、私はステップ4を分割したほうがわかりやすいと思います。また、後述する5日間での実践コースでは、各要茶が頭番ではなく段階的に導入されます。そこで、この節では私の理解に基づいて8つの構成要素に分解し、再構築して解説します。

  • ①準備 「準備」で行うことは、目的の明確化とリラックスです。目的の明確化は本書のここまでにも何度も出てきたコンセプトですね。
  • ②プレビュー これは本書第1章で解説した、「まずは大雑把に全体像を把握」と同じコンセプトです。いきなり詳細に読むのではなく、まずは全体像をつかもうというわけです。この要素は、さらに「調査」と「キーワード探し」の2つに分かれています。「調査」では、表紙や裏表紙、目次などから情報収集をします。「キーワード探し」は、本を20ページごとに開いて、目に付いたキーワードをメモします。プレビューにかける時間は1冊で5分程度です。この大雑把な情報収集を経たあと、この本を本当に読むべきか、①で設定した目的を修正するかどうかを自間自答します。
  • ③フォトリーディング Whole Mind Systemの取も特徴的な部分が、このフォトリーディングです。フォトリーディングでは目のフォーカスをぼかして、ページ全体を眺めます。見開きを1~2秒で読むので、300ページの本で3~5分になります。Paul Scheeleは、読めた気はしないが、服にはちゃんと取り込まれている、と主張しています。この主張は、本書の内容で最も賛否が分かれるところでしょう。私も一時期この読み方を試しましたが、効果が感じられないため今は使っていません。もしこれが効果を生むとしたら、声を出さずに音読の速度で読む癖が付いてしまっている人に、もっと速い読み方を体験させ訓練させることによって、癖から抜け出すきっかけを作ることによるのではないかと考えています。
  • ④質問を作る Paul Scheeleのもともとの解説では、ステップ4は「アクティベーション」でした。このステップの中で彼は、「具体的な質間を作る」「熟成させる」容えを探す」「マインドマップを作る」の4つに言及しています。私はこれを分けて解説することにします。

まず、具体的な質問を作ることについて説明します。本の内容についての、具体的な質問文を作ります。たとえば「アクティベーションって、具体的に何をするんだ?」などです。当初なんとなく「情報収集しよう」だった読書の目的を、「アクティベーションとは具体的に何をすることか確認する」という具体的な目的にしていく作業です。

本を読む前に、目的を明確化することが大事だ、とよく主張されます。しかし、目的を明確化するにも情報が必要です。あまり詳しくない分野の本を読んで情報収集をしようと思っているときに、「どういう情報を集めることが目的か」を詳細に明確にできるわけがありません。そこで、まず目的を具体的にしていくための情報を集めて、事後的に目的を詳細化していくわけです。

具体的な質問を作るために、再度5~15分程度、本を読みます。彼はこれをポストビューと呼んでいます。文章を大きな塊ごとにざっと見て、必要そうだと思ったところを2~3文だけつまみ食いする読み方です。

質問の答えを探すのかと思いがちですが、彼は「まだ答えを見つけようとしてはいけない」と言っています。ここでは質問の答えを探すのではなく、質問を作ることに集中します。

  • ⑤熟成させる 少なくとも10~20分、可能なら一晩時間を置きます。
  • ⑥答えを探す 熟成が済んだら、あらためて本を読みます。今回も④のポストビューと同じように、ざっくり読んでつまみ食いをします。今回は、質問の答えを見つけることが目的です。
  • ⑦マインドマップを作る 学んだことをノートに書きます。このとき、彼は教育コンサルタントのTony Buzanが提唱したマインドマップを使うことを進めています。マインドマップについてここで詳しい説明はしませんが、きっちりかっちりしたノートを書くのではなく、思い付いた単語をツリー状にどんどん書いていく、というものです。
  • ®高速リーディング 自分が適切だと思う速度で、止まらずに最初から最後まで一気に読みます。これは「読む」という言葉で多くの人がイメージする「通読」をやるものです。「本は通読しなければならない」と思っている人は、通読をしないと本を読んだ気がしないので、その気持ちに応えるために通読をするわけです。「読む」とは通読のことだと考える立場からすれば、Whole Mind System は読む前にとてもたくさんの準備をする手法だと感じられるでしょう。

最後の一文が非常に端的に表されているように思う.準備をたくさんして,短い時間で読み切る.もちろんこうした読書法は娯楽目的の小説などには向かない.課題図書などでどうしても読まないといけないときに使うべきだろう.

学生時代に知りたかった本,あるいは会社の新人教育などに良い本だと思った.



マウスを発明したDowglas CarlEngelbartは、人間の知能を増進する方法として以下の4つを挙げていますます。

  1. 人工物
  2. 言語
  3. 方法論
  4. 教育

いくつか例を挙げましょう。計算機という「①人工物」を使うことで、人間は単位時間により多くの計算が可能になりました。計算能力が強化されたわけです。「まず目次に注目する」という情報インプットの「③方法論」を学ぶことで、情報インプット能力が強化されます。そして「④教育」は、◎~③の手段を効率的に使えるようになるための訓練です。


Paul R. Scheeleの「あなたもいままでの10倍速く本が読める」です(中略)この本にはおもしろいことに、この本自体を3通りのレベルで読む方法が書かれています。各段落に重要度別に3種類のマークが書かれており、それを利用することで3通りの読み方をします。その方法は以下のとおりです。 - レベル1(25分):本全体に目を通して、目次、各章の見出し、小見出しをチェックする.もう一度本全体に目を通しながらマーク1を探してそこだけを読む - レベル2(+30分):もう一度本全体に目を通しながらマーク2を探してそこだけを読む - レベル3(+45〜90分):もう一度本全体に目を通し、見出し、小見出しをチェックしながら、マーク3を探してそこだけを読む


外山滋比古 Private or Broken Links
The page you're looking for is either not available or private!
は『乱読のセレンディピティ』の中で、複数の本を乱雑にすばやく読むことによって予期しないつながりが発見する読み方を紹介しました。セレンディピティとは予想外のものを発見することです。

彼は「アイディアのレッスン』で、おもしろいたとえ話をしています。

映画のフィルムは一枚一枚は静止画ですが、短い間隔で続けて表示すると切れ目がわからなくなり、ひとつらなりの動画になります。前の静止画の残像が消える前に次の静止画が表示されることによって、切れ目がなくなるのです。言葉も同じように、心に残像を作り、残像が消える前に次の言薬が来ることで、ひとつらなりの文章として理解されるのではないか、ゆっくり読みすぎると逆に理解が妨げられるのではないか、と彼は指摘しました。この言葉が作り出す残像を、彼は「修辞的残像」と呼びました。残像が消える前に別の本を読むと、複数の本の間につながりを発見することが促されるのです送34。


哲学者Plato (プラトン)は著書『メノン』30の中で、もし何を探し求めているかわかっているなら問題は存在しないし、もし何を探し求めているかわかっていないなら何かを発見することは期待できない、と記しました。

Michael Polanyiは、問題の解決に迫りつつあることを感知する感覚を「暗無知」(noit knowing)と呼びました。人間には、問題の解決に返付いているが、付いていないかを感知する非言語的能力があり、それがいまだ発見されていない言語的な知識を発見するために活用されている、という主張です。