著者
ナシーム・ニコラス・タレブ Private or Broken Links
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カテゴリ
Business & Economics
発行日
2019-12-12
読書開始日
2024-06-03
3選
- 見栄を張るのは自然なことだ.人間だもの.中身が見栄を上回っているかぎり,問題はない.人間らしく,もらえるだけもらえばいい.ただし,もらう以上に与えるという条件付きで.厳密な研究ではあるが同僚たちの意見と食い違う研究,とりわけ,研究者自信が名声への被害や何らかの代償をこうむるリスクのある研究こそ,より重要視すべきだ.さらに,リスクを冒して,物議を醸すような意見を述べる著名人はたわごとの押し売りである可能性が低い
- 世の中には行動では無神論者だが,言葉では信心深い人々(大半の正教徒やカトリック教徒) と 行動では信心深く,言葉でも信心深い人々(イスラム教のサラフィー主義者や自爆テロ犯) がいる.私はいまだに行動と言葉の両面で無神論者である人を見かけたためしたためしがない.儀式,死者への敬意,迷信をまったく持たない無神論者などいないのだ.
- 規制が社会全体にとってわずかにプラスだったとしても,私はできるだけ自由であるほうを望む.その代わりに,民事上の責任を負い,自分の運命と対峙し,人に危害を加えた場合にはきちんとその代償を払う.この考え方は「義務論的リバタリアニズム」と呼ばれる.規制は人々から自由を奪う.だが,自由を人間のもっとも本質的な善だと考える人もいる.そのなかには,失敗を犯す自由も含まれる.この自由は崇高なものなので,経済的な利益などと引き換えに制限するべきではないと個人的には思う
メモ
作者の ナシーム・ニコラス・タレブ Private or Broken Links
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は数学を勉強した後,かつて金融機関でオプショントレーダーで働いたことがあり,それがおそらく投資の世界での基本原則「自己責任原則」を育み,そして「身銭を切れ」へと繋がっていったのだという.
本書では,いくつかの聞き慣れない単語が登場し,その時に十分な説明がなされないため,説明を期待しながら読み進めるとその章が終わる. 変な本だなあと思っていたら,読み終わった時に巻末に用語集があり,そこでまとまって解説されていた. なのでこの本を読む際には巻末の用語集を読まなければならない.
用語集は非常に簡潔にまとまっており,正直これだけで良いのではないかと思わせる.
- エージェンシー問題:代理人と依頼人のあいだの利害の不一致.たとえば,自動車セールスマンと顧客(車の購入希望者),医師と患者など.
- リンディ効果:技術,思想,企業のような壊れないものは,人間,ネコ,イヌ,経済理論,トマトのような壊れるものとは違って,一日経つごとに余命が延びるという現象.たとえば,100年間発行されつづけている本は,売上が順調ならば,もう100年間は発行されつづける可能性が高い.
- エルゴード性:ギャンブラー集団の集合的な統計的性質(特に期待値)が,ひとりのギャンブラーの一定期間における統計的性質と等しくなる場合,エルゴード性が成り立つ.この場合,アンサンブル確率が時間格率に近くなる.エルゴード性が成り立たない場合,観測された確率から,破滅の存在する戦略のペイオフへと,リスク特性をそのまま移行することができない.つまり,確率的に持続可能とは言えない.
- 少数決原理:全体の行動が少数派の選考によって決められるという非対称性.喫煙者は禁煙エリアに入れるが,非喫煙者は喫煙エリアに入れないので,やがて自ずと非喫煙者の方が優勢になる.それは非喫煙者がもともと多数派だったからでなく,喫煙者と非喫煙者とのあいだに非対称性が存在するからだ.言語,倫理,宗教も,少数決原理に従って広まると考えている,
- 善の商品化:善をマーケティング戦略として用いることで,善の価値を貶めること.古典的には,善は隠れて行うべきものだった.現代の「環境を救おう」的なメッセージにはこの原則に反する.善を売る人間は偽善者であることが多い.さらに言えば,勇気や犠牲を伴わず,身銭を切らない善は,善とはいえない.善の商品化は,聖職をお金で買うことができる中世の「聖職売買」や,お金で罪のゆるしを得ることができる「贖罪状」に似ている.
- 黄金律(対称性):「自分がしてほしいことを他者にもせよ」という原則.
- 白銀律(黄金律の否定形):「自分がしてほしくないことを他者にするなかれ」という原則.黄金律との違いに着目.お節介屋があなたの人生に口出しするのを防ぐのが白銀律.
という具合だ(もっとある)
それぞれが面白いし,身銭を切ることは本当に大事だと思うし,心掛けている.
金融機関に努めていると,身銭を切っていない人が少なからずいる.営業員は自分が投資していない銘柄を客に薦める.外務員を持っていれば(バックオフィスの人間でも保有する必要がある)投資を始めるには社内の投資規定に従って投資しなきゃいけない.
著者も言うが,私の体験としてもトレードは身銭を切ることでしか学べないことの代表だ. ペーパートレードではトレードを分かったことにはならない.
身銭を切ることで学ぶこと,つまり言い換えれば経験から学ぶこと,机上の空論や単なるアイディアではなく行動に移すこと. これが本当に大事で,世の中にはそうしない人が多い.
なぜなら行動に移すことは面倒だからだ.行動に移すことは時間もお金もかかる.
しかし,多くの知的労働者,研究者,政治家といった人々は行動ではなく言葉だけで済ましてしまう.これを批判しているのだ.
人生は面倒くささとの戦いだ.こうした怠惰と向き合って乗り越えた時,経験から学ぶことができる.
人生で行動できる時間は限られている.身銭を切って行動に移して経験していこう.