商品の時代 - ジム・ロジャーズ

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著者

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カテゴリ

Investment

発行日

2025-06-01

読書開始日

2025-01-26

3選

  • ヘッジは防御のための行動である
  • 「投機家」はほとんどどこの界隈へ行っても汚い言葉として扱われる。しかし、商品の世界では投機家はなくてはならない存在で、市場を駆動し、かつ流動性を維持するシステムの潤滑油だ。商品取引を成り立たせているのは他ならぬ投機家なのである。先ほど登場した商品の生産者や消費者が先物市場でリスクをヘッジしようというとき、反対側で彼らの取引に応じるのは投機家-つまり、ウォール街の大銀行やヘッジファンド、あるいはお金を儲けるためだけに先物を売買している個人だ。
  • 信じられないほど割高でない限り、空売りはしない。信じられないほど、というのは本気で言っている。これまで私はいろんなものを割高と思って空売りしてきたが、もっと値上がりしてしまったことがよくあった。

メモ

20年以上前に書かれた本である.商品市場は伸び始めると,18年のサイクルで上昇が始まるらしい.それがこれから(2005年から)始まるという趣旨の本.ジム・ロジャーズといえば中国びいきで,娘に中国語を学ばせていることを喧伝している人だ.

前半では商品相場がいかに大事か.生活に密接しており,株価にさえ連動する,投資の中では基礎的なものであるかの説明がなされ,後半では主要な商品の,歴史,供給,需要の精細な分析がなされる.

私はこの本で,投資家と投機家の本当の違いを学んだ気がする.

遍く,商取引(トレード)が成立する時というのは何を交換しているのだろうか.金銭と労働の交換?金銭と時間の交換?それは一面に過ぎない.

この本から商取引とは「リスクを交換」しているのだと学んだ.例えば何か専門的な業務を外部委託する時,それは発注者からすると「自前でやるには経験が伴わないため,大きく間違える可能性があるリスク」と,受注者からすると「習熟した専門知識を持っているが,それを使ってビジネスをするには顧客も営業も持っていないため大きく失敗するビジネスになる可能性があるリスク」を交換している.

そして,トレーダーはその「リスク」を見積もってトレードしている.

しかし,ここでリスクとは主に2つの観点がある.取引価格とは別のところにある客観的なデータである需給によってリスクを見積もることと,取引価格は時間軸で左右されるため時間発展に対して価格の高値圏,安値圏を判別し,そのリスクを見積もることだ.

前者は投資家で,後者が投機家である.そして,往々にして投資家がリスクを交換するカウンターパートとして投機家が存在する.

本書は無論投資家になるよう薦められる.需給を読み,長期投資すれば決して商品相場は難しくない,と言う.

この本の考察が正しかったかどうかを,2025年に生きる我々は検証することができる.

2005-2025年の商品相場を振り返ってみよう. USOIL の価格は次のように変遷した.確かに2005年からリーマンショックまでは物凄い高騰があった.その後,リーマンショックにより需要が激減した.2020年の落ち込みはコロナによるものだが,その後の異次元緩和によって価格はすぐに戻している. !商品の時代 - ジム・ロジャーズ-20250220133847226.jpg Private or Broken Links
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金については,御存知の通り今は史上最高値である.これは一説には,中国が米国債を売って金を買っているからだとも言われている.デジタルゴールドのビットコインも上昇している.

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本書の中では砂糖も薦められていた.こちらは2005-2011あたりまで持っていれば大幅な上昇を見込めただろう. !商品の時代 - ジム・ロジャーズ-20250220134612367.jpg Private or Broken Links
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まあ概ね,1度2度はバブル相場があったことになる.商品相場のサイクルが18年だとすると,2005年から18年後である2023年でそれは商品相場のバブルは終わってしまったのだろうか.

無論そんなことはない.インフレはまだ続いており,商品相場は高騰を続けている.商品投資を辞める時期としては,供給が需要に追いつき,需要が落ち込み始める時だという.需要がピークを迎えてから,1-2年は価格は落ちない時期がある.この間に撤退することが大事だという.

短期の投機家ならいざしらず,商品相場にもう少し目を向けて,これを商品投資を初めても良いかもしれない.