何もしないほうが得な日本 - 太田肇

cover|200

著者

太田肇 Private or Broken Links
The page you're looking for is either not available or private!

カテゴリ

発行日

2022-11-17

読書開始日

2024-07-23

3選

  • 個人が自分の置かれた状況を利用して私益を追求することを「機会主義」という.(中略)あからさまな個人プレーに走ったり,周囲に危害を加えるといった積極的な機会主義に対してはそれなりに対策の手を打ってきた.しかし消極的な機会主義,たとえば正義の名を借りた不作為や,見て見ぬふり,力の出し惜しみ,手抜きなどは目に見えにくいので対処が難しい.多くの場合,それを規制する法的根拠もない.しかも知的労働や創造的な仕事の比率が高まってきたので,頭の中を覗けない以上,知的なサボりはいっそう見えにくくなっている.
  • 目標管理にも「挑戦しないほうが得」な側面が隠れている.大まかにいうと,目標管理では目標の達成度で評価される.その意味では,やはり減点主義である.したがって目標を低めに設定しておいて,確実に100%達成しようとする動機が働く.
  • 社員が「やる気」をアピールするのは,人事評価を強く意識しているからにほかならない.(中略)日本では個々人の仕事の分担や責任範囲が明確ではないので,アウトプットすなわち仕事の成果や果たした役割で客観的に評価することが難しい.そのため働いた時間のようなインプットで評価せざるを得ない.けれどもホワイトカラーの仕事は労働時間だけで貢献度を推し量ることができないので,同じインプットでも「やる気」をはじめ抽象的な態度や意欲で評価することになりやすい.(中略)ただ問題の深刻さはエンゲージメントの低さそのものより,それが表面化しないところにあるのではなかろうか

メモ

「消極的機会主義」の話や「目標管理されるほどハードルを下げたがる」といった話は耳が痛い.

しかし,それは個々人が問題なのではなく,組織と制度の産物なのだと本書は言う.実際に,本書ではその処方箋を提示した上で

人々の挑戦,前向きな行動を引き出すには共同体型組織・社会の閉塞感を打破する必要があり,そのためにはいわゆるクォーター制やアファーマティブアクションのように,意図的に一定割合以上の異質なメンバーを入れる戦略や政策が有効だといえよう

と締めくくる.

まあ結論としてはありきたりのもので,特段新しい気づきはなかったので,読まなくても良い部類の本だろう.実際に本書の参考文献に自著を何箇所もひいていて根拠薄弱な印象を受けた.