人を動かす - デールカーネギー

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カテゴリ

発行日

2016-01-20

読書開始日

2025-03-21

3選

  • フランスの哲学者ラ・ロシュフコーの言葉に、こういうのがある。「敵をつくりたければ、友に勝つがよい。味方をつくりたければ、友に勝たせるがよい」その理由はこうだ。人間は誰でも、友より優れている場合には重要感を持ち、その逆の場合には、劣等感を持って羨望や嫉妬を起こすからである
  • 二千五百年前に、中国の賢人老子が、現代にも通用する言葉を残している。「川や海が数知れぬ渓流の注ぐところとなるのは、身を低きに置くからである。そのゆえに、川や海はもろもろの渓流に君臨することができる。同様に、賢者は、人の上に立たんと欲すれば、人の下に身を置き、人の前に立たんと欲すれば、人の後ろに身を置く。かくして、賢者は人の上に立てども、人はその重みを感じることなく、人の前に立てども、人の心は傷つくことがない」
  • チャールズ・シュワブがある日の正午に製鉄所を見まわっていると、数人の従業員が煙草を吸っているのに出くわした。彼らの頭上には”禁煙”の掲示が出ている。シュワブはその掲示を指さして「君たちは、あの字が読めないのか」と言っただろうか。シュワブはそんなことは絶対に言わない。その男たちのそばへ行って、一人一人に葉巻を与え、「さあ、皆で外へ出て吸ってきたまえ」と言った。もちろん彼らが禁を破って悪いと自覚しているのを、シュワブは見抜いていた。しかし、そのことには一言も触れないで、心尽くしの葉巻まで与え、顔を立ててやったのだから、彼らに心服されるのは当然の話である。

    メモ

    有名な本なのでいつか読んでみたいと思いながら幾年月.古典的な自己啓発書.現代の自己啓発書と比べたとき,その根拠が偉人や誰かの引用で構成されており,本書も膨大な引用がなされており,著者が読書家で,長年の努力の積み重ねで本書が書かれたことがわかる.Googleもなかった時代に古今東西様々な引用をこれだけ集めるのはさぞ骨の折れることだったろうし,とても尊敬を集めたことだろう.

現代の自己啓発書では偉人の引用の代わりに,科学論文で論拠を補強することが多いだろう.歴史や偉人は死に絶え,科学こそが真実を詳らかにすると信じる現代人の傾向だ.

さて,本書は人間関係で悩む者,特に関係を改善したいと悩む人やビジネスマンに向けた様々な実体験と教訓が記されている.著者はアメリカ人なので,アメリカを舞台にした話が多いが,現代にも通じる.

個人的に刺さったことを挙げていく

他人を許す

サミュエル・ジョンソン「すべてを知ることはすべてを許すことである。神様でさえ、人を裁くにはその人の死後までお待ちになる」

生きている限り,過ちを正すことができる.生前の評価ができるのは死んでから.

心から褒める

ベンジャミン・フランクリン「人の悪口は決して言わず、長所をほめること。人を批判したり、小言を言ったりすることは、どんな馬鹿者でもできる。馬鹿者に限ってそれをしたがる」

長所を褒めることは難しく,賢くないとできない.上っ面のお世辞ではなく,心から褒めることは賢いことの証左

私には、人の熱意を呼び起こす能力がある。これが、私にとっては何物にも代えがたい宝だと思う。他人の長所を伸ばすには、ほめることと、励ますことが何よりの方法だ。上司から叱られることほど、向上心を害するものはない。私は決して人を非難しない。人を働かせるには敷励が必要だと肩じている。だから、人をほめることは大好きだが、けなすことは大嫌いだ。気に入ったことがあれば、心から賛成し、惜しみなく賛辞を与える

優れたリーダーは人をやる気にさせることだと思う.

ある時、私は、物好きな気持ちから断食を試みたくなり、六昼夜何も食べずに過ごしたことがある。さほど難しいことでもなかった。六日目の終わりよりも、二日目の夜のほうが、つらかった。ところで、仮に家族や従業員に、六日間も食べ物を与えないでおいたとすると、我々は一種の罪悪感を覚えるだろう。それでいて、食べ物と同じくらいに誰もが渇望している心のこもった賛辞となると、六日間はおろか六週間も、時には六年間も与えないまま放ったらかしておくのだ

心のこもった賛辞を三食のように考え,与え続けることの難しさ

「まず妻と私、それに長男のボブも動員して楽しそうに台所のテーブルの上でフィンガー・ペインティングをはじめたのです。やがてティムが台所をこっそりのぞき込む。そのうちに自分も入れてくれと言い出す。『ティムは駄目。幼稚園でフィンガー・ペインティングのやり方を教わってからじゃないと駄目だよ』。そのあと、私は興奮を抑え切れないといった調子で、先ほどのリストの項目を挙げ、幼稚園の楽しさをわかりやすく話してやったのです。そして翌朝、自分が一番早起きしたらしいと思いながら二階の寝室から居間におりてみると、ティムが椅子で眠っているではありませんか

育児にも使える

関心を寄せる

紀元前一〇〇年に、ローマの詩人プブリウス・シルスがすでに次のごとく説いている。 「我々は、自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる」

"If you want to be interesting be interested."

心理学者ウィリアム・ジェイムズの説を紹介しよう。 「動作は感情に従って起こるように見えるが、実際は、動作と感情は並行するものなのである。動作のほうは意志によって直接に統制することができるが、感情はそうはできない。 ところが、感情は、動作を調整することによって、間接に調整することができる。したがって、快活さを失った場合、それを取り戻す最善の方法は、いかにも快活そうにふるまい、快活そうにしゃべることだ」

これは興味深い.ベンジャミン・リベット(1916 – 2007)の研究によれば,人間がある動作をしようとする「意識的な意思決定」以前に,「準備電位(Rediness Potential)」と呼ばれる無意識的な電気信号が立ち上がるのを,脳科学的実験により確認したことと通じるものがある.ベンジャミン・リベットによる実験 「自由意志はあるのか?」 | A.I.I.V.

つまり,感情(自由意志)は動作を統率するのではない.「感情は、動作を調整することによって、間接に調整することができる」

物事には、本来、善悪はない。ただ我々の考え方いかんで善と悪とが分かれる」。これは、シェイクスピアの言葉である

善悪を「判断」するのは人であり,その人が培ってきた価値観

聞き上手になる

「どんなほめ言葉にも惑わされない人間でも、自分の話に心を奪われた聞き手には惑わされる」ジャック・ウッドフォード

聞いてくれる人がいるから,人は話す.

自分のことばかり話す人間は、自分のことだけしか考えない。長年コロンビア大学の学長を務めたニコラス・バトラー博士は、それについて、こう言っている。 「自分のことだけしか考えない人間は、教養のない人間である。たとえ、どれほど教育を受けても、教養が身につかない人間である」 話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。興味を持たせるためには、まず、こちらが興味を持たねばならない。相手が喜んで答えるような質問をすることだ。相手自身のことや、得意にしていることを話させるように仕向けるのだ。

確かに,教養のある人は自分のこととは遠いことを知っているわけで,この示唆は深い.

これは世の男性にも有効な方法だ。「人と話をする時は、その人自身のことを話題にせよ。そうすれば、相手は何時間でもこちらの話を聞いてくれる」とは、大英帝国の史上最高に明敏な政治家の一人、ディズレーリの言葉である

自分のことを話すことは難しいから,人の話を聞くのがいいよね.

議論をするな

ベンジャミン・フランクリンはよくこう言っていた。「議論したり応戦したりしているうちには、相手に勝つようなこともあるだろう。しかし、それはむなしい勝利だ。相手の好意は絶対に勝ち得られないのだから

ベンジャミン・フランクリンは議論が強いと思っていたが,ベンジャミン・フランクリンが成功したのは議論から降りることを学んでからのことらしい.相手の好意の方が議論の正しさよりも大事ということか.

オペラ歌手ジャン・ピアースは、結婚して五十年になるが、ある時、こんなことを話してくれた。「私たち夫婦は、昔一つの協定を結び、どんなに腹の立つことがあっても、これを守り続けてきた。二人のうちどちらかがどなりはじめたら、もう一人は黙ってそれに耳を傾けるという取り決めだ。なぜかと言えば、二人ともどなりはじめたら、たちまち意思の疎通は吹っ飛び、あとはただ騒音で空気が震動するだけだから」

オペラ歌手の怒鳴りは確かに空気の振動だろうな…

ウッドロー・ウィルソン内閣で財務長官だったウィリアム・マカドゥーは、混迷する政治活動を通して得た教訓を、次のように述べている。「いくら議論しても無知な人間を打ち負かすことはできない」

これ好き.無知な人間を打ち負かそうとするなんて,なんて無駄な行為なんだ

相手に教えるな.相手に気づかせる

イギリスの詩人アレクサンダー・ポープはこう言っている。 「教えないふりをして相手に教え、相手が知らないことは、忘れているのだと言ってやる」

相手が知らないようなことに対して「忘れているだけかな」

煽っているようにも聞こえるが,次から使おう.

三百年以上も昔、ガリレオはこう言った。「人に物を教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ」

生涯をかけて教会と争ったガリレオが言うと重みが違う…

チェスターフィールド卿が息子に与えた処世訓の中に、次のような一節がある。「できれば、人より賢くなりなさい。しかし、それを、人に知らせてはいけない」

人より賢いことが大事なんじゃない.誰かに,より良い考えに気付かせることが大事.

相手が間違っていると思った時には、思うばかりでなく、事実、それが明瞭な間違いだった時にも、こんな具合に切り出すのがよいと思うがどうだろう。「実は、そんなふうには考えていなかったのですが、おそらく私の間違いでしょう。私はよく間違います。間違っていましたら改めたいと思いますので、一つ事実をよく考えてみましょう」

「おそらく私の間違いでしょう」これが言えるかどうかは器の大きさだなあ…

イソップはクロイソスの王宮に仕えたギリシアの奴隷だが、キリストよりも六百年も前に、不杉の名作寓話を生み出した。その教訓は、二千六百年前のアテネにおいても、また現代のボストンやバーミンガムにおいても、同じく真実である。太陽は北風よりも早くコートを脱がせることができるし、親切、友愛、感謝は世のいっさいの怒声よりもたやすく人の心を変えることができる。

イソップ寓話にはこういうのが多いね.

 >リンカーンの名言「バケツ一杯の苦汁よりも一滴の蜂蜜のほうが多くのハエがとれる”をよく心にとどめおいていただきたい

批判で相手を変えることはできない.褒めることで相手に変化を促すことができる.

あの伝説的人物、フランス航空界の先駆者で作家のアントワーヌ・ド・サンテグジュペリは、次のように書いている。「相手の自己評価を傷つけ、自己嫌悪におちいらせるようなことを言ったり、したりする権利は私にはない。大切なことは、相手を私がどう評価するかではなくて、相手が自分自身をどう評価するかである。相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪なのだ」

相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪.とはいえ,この犯罪はあまり取り締まられることはないが…