ユニット時間経済学

人の生涯は有限であることから,ある人の可処分時間に着目して時間損益を考える経済学が作れるのではないか(「ユニットエコノミクス」のアイディア).労働収入や労働能力(生産性)の違いを生産性変数 \(p\) とおく.

静的時間経済学

ある人(ユニット)が天寿を全うした時、その彼の生涯を振り返る。彼は生涯同じ国に暮らし、その間税制改正は彼に一度も影響を与えなかったとする。

可処分時間(手取り時間)の定義

基本的には,人生の時間のうち国家に奪われた税金を生み出すのに使った時間をひけば可処分時間を定義できる.

\[F(p)=F-T(p)-\alpha C(p)+I\]

なおここで,

  • ユニットの生涯時間 \(F\)
  • ユニットの生涯納めた税金を生み出すのに費やした時間損失 \(T(p)\)
  • ユニットが自分の子供を持った時,育児に費やした時間損失 \(C(p)\)
  • また国家が維持するためにユニットに強いた子供を持つことの受容率を \(\alpha\).全体主義国家で子供を持つ場合では \(\alpha\) は 1 に近く,子供を持たなかった人や育児参加しなかった人は 0.心理的な側面があり,ユニット自身が可処分時間で育児したという見方もできるし,子供が孝行者で家業に労働参加した場合は\(\alpha <0\) もありうる(特に多産社会).
  • ユニットが生涯(あるいは生来)獲得した生産手段/投資/年金からの時間損益.投資余暇を\(I\).彼の労働能力\(p\)に依存しない.

    累進課税から導かれる性質

    国民は税金を国に納税しなければならない(納税の義務).税金は収入および消費に対して課税される.投資収入に対する課税は時間に関係ないのでここでは考慮しない.

生産性\(p\)をもつ労働者による時間損失 \(T(p)\)は労働収入に対する課税を生み出すのに費やした時間損失\(T_l(p)\)と消費に対する課税(例:消費税・印紙代)を生み出すのに費やした時間損失\(T_c(p)\) を用いて, \(T(p) = T_l(p) + T_c(p)\)

さて,国家が所得税が累進課税の国家なら\(T_l(p)\)は \(p\)の単調増加関数となる.なぜなら\(p\)が異なる様々な生涯を並べると,\(p\)が高い人ほど収入が高くなり,国家に投じた労働時間は多くなる.しかし投資余暇があればこれを回復させることができる.ここから生産性が高い人ほど人生を国に搾取されているので,投資余暇を得ないと可処分時間減らすだけの人生だということが導かれる.

生産性に潜む「次元の呪い」

\(p\)の度数分布を考える.\(p\)が仮に「(生物学的)能力」とすると\(p\)の度数分布は正規分布ぽいが,実際に世界の収入分布はパレート分布と聞いたことがある.

これは,能力の多様性(「歌がうまい」「計算が早い」「説明がわかりやすい」etcなど生産性能力を無数の定義できる)が「次元の呪い」をおこしており,それを雑に「生産性」という1次元に写像してるからか.

財政学への応用

国家は必ず\(T(p)>0\)を得て国家運営に充てる(徴税権).しかし国民の\(p\)による不公平感が出ると,国は(反乱や革命など)傾いてしまう.例えば,\(p\)に比べて大きすぎる\(I\)を持つと多大な時間を持て余す(俗に言う「親ガチャ」)や,\(p\)が高いのに不健全な投資により更に可処分時間\(F(p)\)を減らしてしまうことだ。(後者は投資の自己責任原則と言われるが、巷に跋扈する金の貸し借りや債務不履行なども含めれば必ずしも投資家だけを責めることは難しい)

そこで,国家は\(p\)による不公平感をなくしたいという目的が生まれる.

国家の徴税方針としては「どんな\(p\)の人も\(F(p)>F\)となる条件,すなわち\(T_l(p) + T_c(p)+\alpha C(p)<I\)となるような仕組み/立法」ができないか? (←最初「どんな\(p\)の人も\(F(p)\)一定」を考えたが,パトロンのいる芸術家の文化活動を考えると,時間貰う分にはいくらあっても良いので,国家に対しては厳しい条件だがこれで)

具体的にはどんな仕組み?になるだろうか.

\(p\)の高い人ほど\(I\)を国から与えられるような仕組みが望ましい.

  • それって厚生年金?基本的に年金は年寄りだけ得ることができる \(I\) だ。目立った生産手段や投資を持たない長寿の人は大部分の \(I\) を年金から得る
  • 生産手段や投資を持ってる人は \(I\) が大きすぎ、世代間不公平感につながるのでは
  • 投資しても年金減額されるのなら投資意欲減退するか?でもそんな年寄りが金持ってどうする??

国の時間経済学

国からすれば歳入\(T(p)\)を得て,国債を発行する.国家間の貿易もあるので考察は後回し.

動的時間経済学

彼の生涯における \(p\) の時間変化を考える.

教育の時間利益

学校での教育は言うに及ばず,ここでは労働生産性向上を招く行為を全て教育と定義する.(転職して、リスキリングも教育) 教育とは生産性を向上させる手段.そして生産性が高い人ほど,それに見合う十分合理的な教育を受けることで高い生産性を得る. 教育によって得られる時間利益 \(E(p)\) は

\[\frac{dE}{dp}=E\]

労働生産性の教育時間利益表現は \(p=\log\left(\frac{E}{E0}\right)\)

生産性モデリングの試み

生産性は加齢により衰えることを認める。 \(p = -\frac{dp}{dt}\)

\(p=\log(E)\)型なので,\(p(t)=\log(E(t))\)とおくと,合成関数の微分から \(\log(E(t))=-\frac{1}{E(t)} \frac{dE(t)}{dt}\) 変数分離法により \(E=\exp(\exp(-t))\) 教育によって得られる時間利益は歳を取ると減っていく.(赤ちゃんで\(e\)あったものが,老人で\(1\). 任意定数は無限時間で\(1\)とした)

しかし,これは\(p=\exp(-t)\)となるので、赤ちゃんが最も労働生産性が高いことになるので変…


時間は政府に貰えない.通貨のように増やしたり減らしたり,価値を毀損させられたりしない.

自分の人生を国家から守れ.国家は国民に負担なく時間を徴収せよ.